南極マラソンに参加した私がよく聞かれる質問、レース編です。
「南極マラソンってどんな大会なの?」
現在2つの会社が南極でレースを開催しています。
・南極アイスマラソン
・ラストデザート(南極)
2つのレースがあること自体あまり知られていません。
どちらのレースも2006年に始まりました。
混同した情報も多いのでその違いをまとめます。
<h2>南極アイスマラソン</h2>
・主催
北極マラソンも主催しているポーラーランニングアドベンチャー
・参加条件
特になし
・集合場所
プンタアレナス(チリ)
・移動
5泊6日
輸送機で4時間半、滑走路から基地までは車で移動8km
・宿泊
南極唯一の民間基地ユニオングレーシャー
2名用の二重テントにマットレス、枕、シーツ
極寒用シュラフ
食堂で食事やアルコール含む飲み物も提供。
シャワー棟で温水シャワー利用可能。
ドクター常駐
充電可能
多目的テントで卓球までできる
・コース設定
マラソン、ハーフマラソン、100kmが毎年開催。
1マイル、10Km、トライアスロン、デュアスロン希望者があれば可能。
100km以外は制限時間なし。
ユニオングレーシャー基地から片道5kmのコースを往復。
高低差はないのでトレランシューズでしっかり走れる。
・装備
主催者が装備を決める。
基地の周辺で走るのでリュックを背負う必要なし。
・特徴
南緯80度、世界最南端の大会です。
内陸なのでペンギンやアザラシなど野生生物はいません。
<h2>ラストデザート(南極)</h2>
・主催
レーシング・ザ・プラネット社(香港)
ラストデザートは4 デザートシリーズ(サハラ、アタカマ、ゴビ、南極)の1つという位置付け。3つの砂漠は毎年、南極は隔年で実施。
このラストデザート(南極)に2014年11月、私は参加しました。
・参加条件
サハラ・アタカマ・ゴビで行われるレースを2本以上完走した人。
以前は3大会完走必須だったので、条件が緩和されています。
・集合場所
世界各地からアルゼンチンの最南端の町ウシュアイアに集合。
ここはフォークランド諸島や南極へのクルーズが出る港です。
・宿泊
出航から帰港までクルーズ船に宿泊します。
・移動
7泊8日のクルーズ船。
ほぼ2日かかりで、ドレイク海峡を越えていきます。
南極では天候が許す限り毎日ゾディアックボートで上陸します。
レースが終了すると船に戻ります。
そして全員が乗船したことを確認し、船は違うポイントに移動していきます。
・コース設定
南極も他の砂漠と同じくステージレースですが、安全上、南極に数十キロのコースは作れません。
3km~10km程度の周回コースを毎日設営し、選手は合計距離を競います。
終了予定時刻は発表されますが、途中、悪天候になれば打ち切り、
逆に天気が良ければ、延長されることもあります。
そのため特に上位を狙う選手、走りたい距離がある選手は気を抜くことができません。
完走が目標であれば、スピードは遅くてもしっかり歩き続けていれば大丈夫。ただし止まると一気に冷え込むので休憩する余裕はないでしょう。
傾斜のあるコースの日はアイゼン必須。膝まである雪をかき分ける日もあり。
海が荒れると上陸できないこともあり。その日のレースは中止になります。
・装備
私は基本的にクロスカントリースキー用のウェアを着て走りました。
もう少し軽装の選手もいますが、突然、極寒になることもあるので注意が必要です。
コースに合わせて毎日主催者が必須装備を決め、それを全て持って上陸。
指定された60Lサイズの防水バッグに移動用の服や緊急用の食料などを入れ、レース中デボバッグとして預けます。
・特徴
ステージレース
66度33分以南の南極圏を含む半島や近くの島に上陸し毎回違った場所を走る
ペンギンやアザラシなど野生生物を見ることができる
ペンギンには5m以上近づかないように。彼らがコースに入ったら
5m距離を開けて出ていくのを待つことになります→ペンギン渋滞
<h2>どちらの大会がいいの?</h2>
どちらも。全く違った体験ができます。
南極アイスマラソン
・どうしても船にゆられたくない
・フルマラソン、あるいは100kmという決まった距離のレースに出たい
・最南端がいい
ラストデザート
・野生動物に会いたい
・氷河や流氷を見たい
・ステージレースが好き
2018年、今年は両大会とも開催されます。
どんなドラマが起きるのか、楽しみです。